『また個体群生態学』

ヤクザル調査は金岡雅浩さん(みかん、現・名古屋大学、1996-1999年, 2001-2002年参加)繋がりで京都大学理学部の学部生だったうちの3年間参加させて頂いた. そこでの貴重な体験は20周年記念誌での駄文として綴らせて頂いたので, それがその後, 私の人生にどう影響を及ぼしたのか, 何が起こったのかを記しておきたい. 折角の機会なので寄稿内容にバリエーションを持たせる為, 私以外の方々があまりされそうにない話題に触れたいと思う. そこから何かを汲み取る必要もないが, ご笑覧頂ければ幸いである.

 

20周年記念誌では出芽酵母の生殖隔離についてちらっと触れたが, それは結局染色体分配や細胞周期に関わる因子の不和合性と, その結果引き起こされる様々な現象(モザイク異数性や染色体再編を含む)が原因という結論にはなりそうだった. これはおそらく植物や魚類とも共通の真核生物での話で, 真正細菌古細菌でのゲノム間の組み換えの抑制とはかなり異なる話になった. 諸般の事情でデータをきちんと整える前に英国より帰国の運びとなり, その後研究が引き継がれている訳でもないようなので論文にはなっていないが, 自分たちの説に都合の悪いデータを隠して高IF雑誌に論文発表するよりはマシだと思ったので, そのままにしてある. 機会があれば続きをしても良いとは思っている.

 

これだけだとタイトルの「個体群生態学」とはほとんど関係ないように思える. その後何が起こったのかというと, 帰国後に細胞性粘菌を用いてイメージングの仕事をしていた時期があった(2011-2013年くらいまで). 本業の方はなかなか成果が出そうにもないように思えたので, PIにサイドプロジェクトとして提案し, 2012年度の笹川科学研究助成を受けたのが「野外性細胞性粘菌を用いた中立論と適応進化の検証」. ここで「個体群生態学」が出て来る. 何故そうなったのか?

 

私は元々種の起原や生物の適応と中立進化の関係には興味があったのだけれど, それを分子生物学的に理解したかったので大学院5年間とポスドク初期の4年間くらいはずっと大腸菌酵母分子生物学の研究をして技術を身に付けていた. しかしその間, ヤクザル調査でやったようなフィールドワーク(の真似事かも知れないけど)もしてみたいという気持ちはあった. 野外に存在する膨大な系統群の微生物の中から大腸菌特異的にフィールドワークをしたり, エタノール培地で選択をかけてもその約半数が未記載種である酵母のフィールドワークはかなり難しいのだけれど, ここで細胞性粘菌が出て来たことで状況は変わった. 細胞性粘菌はモデル生物なので組み換え実験も比較的容易なのだけれど, 大腸菌酵母と異なるのは野外採集も簡単に出来ることである. 野外から土を採取(0.5 g採取すれば数百―数千の細胞性粘菌の細胞を含んだパッチがゼロ〜数個入っているスケール)して滅菌水に懸濁して濾過し, 適度に希釈してリン酸バッファー培地にバクテリアを撒いたものの上で培養すると, バクテリアが原生生物に食べられてローンが溶けた透明のプラーク(1つ1つが原生生物1細胞由来)が幾つか出来る. その中には原虫由来のもの(顕微鏡で確認出来る)もあるけど, 多くは細胞性粘菌由来のアメーバのもので, 放っておくとバクテリアが食べ尽くされて細胞性粘菌が集合して肉眼でも確認出来る子実体が形成される. 細胞性粘菌は全世界でも百数十種くらいしか見つかっていないし, 未記載種を含めても種数はそんなに多くはならないと思われるので, メタゲノムのような包括的研究ではなく個々の種に注目したアナログな微生物生態学分子生物学(DNAシーケンシングだけでなく, 細胞性粘菌自体の組み換え実験も含めてという意味)も含めて行うには格好の材料である. 細胞性粘菌が先程述べたようなサンプル調整法でエンリッチされるニッチを占め, 細胞性粘菌が占めていたプレート上での面積の割合とプラークの密度が分かれば個体群密度が分かる. 分類も子実体の形態学と, それとよく一致した18S rDNA配列に基づくデータベースで簡便に出来る. つまり, ある程度単純な系での個体群生態学や群集生態学を行うには理想的なのである. ヤクザル調査は予算は兎も角, 結構手間暇がかかるので息の長い計画が必要なのはみなさんも分かると思う. 細胞性粘菌の場合は予算は兎も角, 月いっぺんくらいなら一人でもサンプリングは土日にでもすれば良いし, 個体群密度と種のデータだけなら簡単に取れる. その代わり, ヤクザル調査のように野外の個体にも注目した研究(生物物理学の世界でも一細胞・一分子生物学など統計的な平均ではなく個々の細胞・分子の挙動を追おうというのは最近の流行り. 個々にはダイナミックに変化していても平均で見ると何も起こっていないように見える状況というのはたくさんある. )はし難く, あくまでも個体群と種との関係を見て, 個体は個体群密度上の「数」として表現される. これを一人でやろうという訳だ.

 

2011年当時は伊豆は三島の国立遺伝学研究所に居たので, 200-100万年ほど前は南海の島であり, オカダトカゲPlestiodon latiscutatusも種分化したというこの地でフィールドワークをしてみたいという気概はあった. そこで近場のいろいろな山から細胞性粘菌を集める一方, 沼津アルプスの鷲頭山と天城の森でポイントコドラートを作って1年弱の定点観測も試みた. 2012年6月からPIの気まぐれで徳島大学にラボが移転してからも, 2013年初頭まで月にいっぺん(台風に邪魔されれば二へん)徳島と伊豆を夜行バスで往復して研究費をもらった上での義務を果たし続けた. 結果は “Eastern Japanese Dictyostelia species adapt while populations exhibit neutrality. ” Evol Biol 42: 210-22. に纏めた. 内容を簡潔に述べると, 細胞性粘菌のランダム・中立的なメタ個体群スケールと季節的に適応的な種スケールの特徴時間を分けて同定したというもの. これはHarvard Universityに留学して居た頃の同僚のKevin Verstrepenさん(現KU Leuven教授)が開発した, マイクロサテライトの変異率を測定する組み換え実験の手法も応用して計算したもので, それを使うと細胞性粘菌の細胞の野外での一世代時間は10日間くらいに算出される. 実は調査の過程で細胞性粘菌のシロカビモドキPolysphondylium pallidumとムラサキタマホコリカビDictyostelium purpureum, ムラサキカビモドキPolysphondylium violaceumと子実体の形態上は区別出来ないものの, 従来種とは違って子実体形成能が高温耐性かつ18S rDNAが別種ほど異なっている未記載種らしきものも採取していて, 種分化もオカダトカゲと同じくこの200-100万年前までの地理的隔離の間に高温耐性化として起こったと思われる. だから微生物の個体群生態学や群集生態学, 種分化の格好のモデルとなる. ここまで来ると台風の中で山に登ってサンプルを採取したことも含め, 定点調査や統括者として屋久島のヤクザルを追いかけていた記憶がまざまざと蘇る. ようやく個体群の世界に戻って来た, と. この調査では笹川科学研究助成を出している日本科学協会の他に遺伝研, 徳島大学, 英国の研究者のGareth Bloomfieldさん(MRC Laboratory of Molecular Biology), 米国Dicty Stock Center, 調査を許可して頂いた環境省, 静岡県, 鷲頭神社, 伊豆森林管理署などにお世話になった. 天城の方はブナFagus crenataの原生林に近い国立公園とは言っても, そこには細胞性粘菌はシロカビモドキPolysphondylium pallidumとその近縁の未記載種しかほとんど居なくて, 聖域ではあっても群集生態学的な多様性はなかった. 多様性があったのは雑木林の鷲頭山の方で, 特に個体群密度の高いシロカビモドキ, ムラサキタマホコリカビ, ムラサキカビモドキに注目出来た. 下図を見れば, シロカビモドキ(青線)は夏場の極相種で, ムラサキタマホコリカビ(赤線)やムラサキカビモドキ(茶線)は春秋のパイオニア種(実際, 子実体形成に要する時間など生活史のサイクルがシロカビモドキより速い)のように振舞って居た. 冬場はバクテリアの活動も不活発で, 個体群密度は低い. 源平合戦期に南都焼討で東大寺の大仏や大仏殿を焼いたという平重衡が源氏の追っ手から逃れた末に自害して果てたという偽史の残る鷲頭山(史実では重衡は木津川畔で斬首)で行った研究だ.

  

 

f:id:shunadachi:20190227180554j:plain

2013年後半になって, 真面な実験環境が無くなったのでどうしたらいいかと考えた上で, 今手元にあるデータを数学的に解析してみようかということになった. 上図を見ると夏はシロカビモドキが何となく適応的で, 春秋はムラサキタマホコリカビやムラサキカビモドキが何となく適応的に見える. でもここでいう適応しているとかしていないって, 数学的・定量的にどう正当化出来るか? という話. 何となくでは科学の世界の話にはならない. 今あるデータで何とかしてみようと思った.

 

まず考えたのは, 対数分布からのズレを尺度とすることだ. 上図の左上にあるように, 個体群密度が生態学的な中立説に従う間はランダムなゼロサムゲームが起こる筈なので, メタ個体群レベルで見ればそれは対数近似が出来る. 実際, R2値で0.96-0.99くらいの近似にはなる. しかし上図の右上にあるように, 種レベルでフィッティングするとR2値が下がり, 0.88ほどになって一種(夏場の極相種のシロカビモドキ)が卓越する. この場合, 種のデータは対数近似できていると言えるのだろうか? 後でわかる通り, 個体群レベルで解析した場合と同種内の個体群のデータを足し合わせた種間での比較はその数論的構造が異なり, 全く違う状況だということになる.

 

まずやったのが, 中立性からのズレを測る尺度を作ること. 最初に対数分布的な近似をして, k番目に高い個体群(種)密度をNkと置きNk = a  - b ln kのパラメータa, bを求める. 対数近似ではkNkN1となる. つまり, k = N1/Nkとなる. 対数近似でない場合は, N1/Nkkとの比を見れば, それが大きい時は少数個体群(種)が突出, 小さい時は沈滞していることになる. ただ, 「中立説からのズレ」を計量するには, 完全に中立的な状況では個体群密度は対数的に分布するので, ln kという分布からのズレを測る必要がある. そこでRe(s) = ln (N1/Nk)/ ln kという指標を考えた(こういう割り算を用いた商空間を考えるのは, 実は数学的にとても深く適切な手法). そして別途, 個体群(種)内の個体の平均適応度を|D| = eRe(s)/bとし, Im(s) = |D|E(N)という指標を考える(集団遺伝学における中立説を唱えた木村資生のマルコフ過程を用いた拡散方程式の類似物から正当化出来る). これを個体群(種)の適応度の期待値とし, それを実際のデータを用いて算出して見たところ, それで何と数論における基礎的な関数であるRiemannのゼータ関数の零点の虚部(ゼータ関数は複素変数の関数)に近い値が何故か種の場合のみ(個体群のデータからは算出されない)現れたのである. これには驚いたが, これはつまりRiemannのゼータ関数の零点とこういう計算方法との間に何らかの関係があるということを示唆しており, それと個体群と種との区別との間に何らかの繋がりがあるかも知れないことを表している. ここから数学への旅が始まった.

 

まずRiemannのゼータ関数ζ(s))について直ぐに分かるのは, それがZipfの法則と関係していることである. Zipfの法則は見ている系の測度(確率を確率分布から計算する際にその分布の関数となる)が

f:id:shunadachi:20190227181453p:plain

となることから, Riemannのゼータ関数の零点というのはその測度が発散し, 個体群密度がとんでもなく増える(もしくは減る)ことを表している. つまり, 環境に種が適応(もしくは非適応)状態になり, 個体群密度が大きく変わる状態を表しているということである. この辺りがマルコフ過程に基づきランダムな増減をしている中立的な個体群と, 季節単位のもっと大きな時間スケールで見れば適応・非適応により優劣が付く種の違いを表しているようである. これは面白そうなので, Re(s)を実部, Im(s)を虚部とみた複素数sを考えてみることにした. 調べてみればRe(s)はDirichlet級数として取り扱いが可能で(1世紀以上前の1894年発表の数学の論文に記載されている), さらにフラクタル次元ともなり得ることが後に分かった(Lapidus et al. 2017など). また, こういう複素計量を考えるとRe(s)とIm(s)が双対的な関係にあり, 互いに構造的に関わり合って部分集合がある性質を持つために個体に関わる性質がその集まりである種に関わる性質に反映され, 種もある種の「自己再生産が可能な単位」として認められ得ることが分かった(数学的にはNeukirch 1999参照). こういう何らかの対象と対象間の性質を数学的な対象として纏めて扱う数学の理論を圏論と言うのだけれど, 計算機科学や数理物理学と同じく, 生物学とても例えば「種」のように定義が曖昧な対象を扱う際に, そういう何らかの纏まりを圏論的に捉えて何らかの性質を予測し議論するということは原理的に可能だということのようだった.

 

生態学・進化学にはかつて「群選択」という言葉があって, ナイーブなものは種の保存のために群に自然選択がかかって特定の形質を持つものが増えるというものだった. これは現在ではほとんどの生態学者や進化学者が否定している概念で, 最も単純な反論だと種の保存の為に利他的な個体の集団内で利己的な個体が現れるとそちらの方が適応度が高いのでその形質があっという間に広まってしまい, 利己的で無くなるというもの. でもそういう議論では十分長い時間の間, 環境条件が一定だという前提が成り立たないといけない. そういう前提を認めると極論としては生物の系譜からは多様性が消失して1つのニッチに1つの系譜しか残らないことになる. 現実の世界ではそうでなく多様な世界になっているのは, 「十分長い時間の間, 環境条件が一定」という前提は実際にはまず成り立たないからそうなっているのだと解釈出来る. 選択的に安定な局所解がいろいろあってそこにトラップされる場合や, 十分長い間振動が起こり続けて解が収束しない場合など, 状況はいろいろ考えられる. 群選択自体は血縁選択や互恵的利他主義などに取って代わられたけど, それ以外にもマルチレベル選択など多階層への選択を同時に考える理論もあって, 個体への選択のみを考えず集団でも同時に考えるという理論は別に珍しいものではない. 上での話も個体(もしくはもっと下の階層)への選択を基準に, 上の階層も形成されえてそこにも選択がかかるという話をしている. これを位相幾何学のRiemann-Hurwitzの公式を変形して先ほどの複素計量に当てはめると, 複素適応度をw = s – 1として(これは物理学的な場の理論と密接に関わる変換だけど, 何故こうすれば良いのかは本稿からは割愛), 個体群Qと種Rとの間に

f:id:shunadachi:20190227181145p:plain

 

の関係があることが分かる. 前の項がRe(s) - 1, 後ろの項がIm(s)に相当する. bjはある分岐の指数. この場合, Im(s)が個体群密度を評価尺度とした種全体の平均的な適応度, Re(s)が適応・非適応などの分岐現象の適応度への寄与で, 個体群レベルの選択Im(s)と種レベルの選択Re(s)をちゃんと分けて記述することが数学的に保証される. またこれで零点などの特異点と種との関係が明示化されるのだけれど, 種が飛び飛びの形質を示すのは零点が離散的に存在するのと対応づけられる(ただし, 実際にRe(s)が整数値(素数値)を取ることの証明は数学の未解決問題). 先ほどのアイデアが数学的にはこういう風に正当化出来る. 勿論短い時間スケールでは個体群の連続的な挙動が優占されるけど, ある程度長い挙動では種の離散的, それよりも大きくなると連続的に見えてさらに大きくなると離散的, の繰り返しという入れ子状構造が考えられる . どのスケールの事象を見ているかが解析の鍵となる.

 

応用として面白いことの1つに, Riemannのゼータ関数の零点は虚部の小さい方から素数(2, 3, 5, 7, …)に対応付けられるのだけど, それを使ってデータ上は観察された「種」に番号を振ることが出来る. 普通の自然数の番号でなく, 素数の番号である. これでどうなるかというと, 種の数学的構造自体に素数の番号を付けて素イデアル整数論では素因数みたいなもの)とし, 群集の取る生態学的状態をその素イデアルの冪乗の積(積の演算は普通の掛け算とは限らない)として扱うことが出来る. 素イデアルというのは部分構造を持たないので, その階層では複数の構成因子でなく単一の構成因子からなると解釈出来る. それを何乗かして掛け合わせてある種の生態学的な特徴量とし, 素イデアルの列が種構成となるということである. 系が同じ生態学的状態か異なる生態学的状態かをそういう演算で表すことも出来るということである. 代数学におけるSylow群の概念を言い換えれば, 階層Gが何らかのアイデンティティを持つ構造に収束する時, アイデンティティを保つその素構成因子(生物なら細胞, 個体, 種など)がすべて時間もしくは確率的推移に対して共役で, それらのSylow群が全て正規部分群となるし, 逆に後者が分かれば素構成因子の上の階層Gの存在が言える. 種の存在はこういう条件を満たす演算を元に定義すればその演算上は存在が容易に証明出来るし, これに基づけばいろいろな代数学幾何学の理論を応用することが出来る. また, 素数が4で割って1余れば非適応的種, 3余れば適応的種であることは代数学から予測されるのだけど, 手持ちのデータからはそういう素数の番号付をした時に確かにそうなって例外は1つもないことは確認している. 素数が2の場合だけは分岐で適応状態にも非適応状態にもなるので, これは例外.

 

さらに, Im(s)の世界の上に双対なRe(s)の世界を取れば, そのさらに上に, Im(s), Re(s)の世界と入れ子状のフラクタル構造が取れるので, ガロア表現やエタール・コホモロジーなどの先端的な数学の理論と関わってくる. 最先端の世界としては宇宙際タイヒミュラー理論という理論にも演算上は対応関係があるようにも見える(詳細は検討中). この理論まで行けば物理学での時間とその他の次元との関係, 空間の次元を幾何学的に増やしたり減らしたりして興味がある事象を調べるなどの解析手法もかなり応用出来るようになるので, 時間経過による個体群密度の推移を詳しく追わなくてもその少数の時間的断面を調べるだけで系の挙動が精度よく予想出来るようになる(実際, 現時点でもRiemannのゼータ関数の自明な零点を利用すればその単位時間後の適応・非適応状態を予測することは可能). 静的イメージで何故動的挙動が分かるのか, というのは, 対象に関するある種の分布の中にはその確率論的な挙動の情報が含まれているので, それを抽出しているだけだと思うと大雑把には理解しやすい. 次元との関係は現代的な素粒子理論や宇宙論とも関わって来るので, 屋久島でヤクザルを追い掛けていたら宇宙が見え始めた, という狂人の与太話のようなものとして筆を進めて来た. 半分冗談みたいな話かつあまりオーソドックスな話でもないので, こういう形で記念誌の末席を汚すことにしたい.

 

こういう話を現在に至るまで続けている. もう少し丁寧な話はhttps://researchmap.jp/mu8rcgd5w-46768/#_46768に大学のレポートとして上げてあるし, さらに詳しくという場合はhttps://arxiv.org/abs/1603.00959 (ただし, 間違った記述もあり)を参考にしてもらいたい. これでも厳密さが足りないので, 今は京都大学理学部の科目等履修生として数学系の勉強をし直して基礎から洗い出している最中だというのが近況である. 自分のキャリアとか気にするような立場にはもう無いし, 目の前にある課題をとことん突き詰めたいというのが現状. 半谷さん, 好廣先生, 高畑先生, 山極先生, 湯本先生を初め, 調査の内外で関わった屋久島関係の全ての人がこういう世界へ呑み込まれていくきっかけを作って下さったのでそれには感謝している.

 

参考文献:

Lapidus et al. (2017) Fractal Zeta Functions and Fractal Drums. (Springer)

Neukirch (1999) Algebraic Number Theory. (Springer)