Let It Be Super Deluxe Edition

2021年10月15日にThe BeatlesのLet It Be Super Deluxe Editionが発売されたので購入した.CD5枚組とBlu-ray1枚のセットだった.CD1枚目がオリジナルアルバムのLet It Beのリミックス,Blu-rayがその音質の改善版だった.CD2枚目はGet Back SessionのうちのApple Sessions,3枚目はリハーサルとApple Jamsだった.CD4枚目はGet Backと言う名前で売り出される予定だったLPの音源で1969年にGlyn Johnsがミックスしたもの,5枚目はEPで “Across The Universe” と “I Me Mine” の1970年にGlyn Johnsがミックスしたもの,それに “Don’t Let Me Down” と “Let It Be” のシングルバージョンのリミックスだった.CD2枚目と3枚目はセッション中の音作りの様子がある程度分かるもので,The Beatles Anthology 3の拡張版だった.4枚目はオリジナルアルバムと比べると,編集と曲順に手を加えるだけでいささか古めかしい音作りになって,本当にThe Beatlesデビュー以前の時代に “Get Back” したような感じだった.The Beatlesがリジェクトしたのも何となく分かった.後に殺人罪で収監され,COVID-19で亡くなるPhil Spectorがプロデュースしたオリジナル版の方が音作りはモダンだけれど,ライブパフォーマンスに近くするという元々のコンセプトは “For You Blue”, “I Me Mine”, “Let It Be”, “The Long and Winding Road” の編集作業で瓦解した.特に “The Long and Winding Road” でのオーケストラとコーラスのアレンジにPaulは激怒したらしく,それが2003年のLet It Be… Nakedの発売に繋がった.ただ,このアルバムは音がシンプルだけどやはり厚みにはいささか欠けるので,例えば “Let It Be” ならGeorge Martinプロデュースのシングルヴァージョンのリミックスである今回のEPのものが完成形なのかなと思う.音のアイデアとバランスの取り方が絶妙だった.兎に角ややこしいレコーディングヒストリーの音楽群だった.