アメシスト,神,モンスター

昨日,『光る君へ』のメインテーマが『Amethyst』であることを知った.Amethystは日本語ではアメシストだが,これは紫水晶のことで,紫式部に因んだ名前であることが分かる.紫水晶組成式はSiO2で,石英の変種だ.硬度7,比重2.65,劈開なし,断口は貝殻状,ガラス光沢を持つという特徴がある.紫色の理由はケイ素を置換した微量の鉄イオンが放射線を受けると電子が飛ばされ,電荷移動が酸素原子と鉄イオンとの間で起こり,三価の鉄イオンが四価の鉄イオンになり,これが形成した色中心が光のスペクトルの黄色を吸収するために,その補色である紫色が通過する様になることだとされる.ブラジル,スリランカマダガスカル中央アフリカウルグアイザンビアが主な産地だ.用途は装飾用で,2月の誕生石だ.

 

日本語では「アメシスト」表記の他に「アメジスト」表記の場合もある.RPGの『ロマンシング サ・ガロマサガ)』や『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-ミンサガ)』でも「アメジスト」として,破壊神のサルーインを封じるために使われた10種類のデステニィストーン(ロマサガ)/ディステニィストーン(ミンサガ)の内の1種となっている.主人公を踊り子のバーバラにすると,旅立ちの地のウエストエンド(Londonで劇場が多いWest End由来?)で市井に紛れたこの世界の主神であるエロールから踊りを披露してもらったお礼に貰える.バーバラ以外の主人公だと最初からバーバラが持っている.それを狙うのがサルーインのしもべであるヘイト(憎悪)・ストライフ(闘争)・ワイル(策略)で,なぜそういう名前なのかは明白だ.物語の終盤でウエストエンドは壊滅することがあり,世界各地の壁新聞に「ウエストエンドかいめつ!フロンティアのまちウエストエンドがモンスターの軍団によりかいめつした!モンスター軍団はニューロードを東へ!」と書かれるほどの大事件になっている.これらのRPGではモンスター軍団の主であるジュエルビーストというサルーインサファイアを埋め込まれたカエルの化物が,フロンティアに留まらずクジャラートというイスラム系に似た国家のタルミッタという街まで侵攻することが場合によってはある.ロマサガではジュエルビーストを倒せば街は元通りになるが,ミンサガでは壊滅した街は元に戻らない.これらの「御伽話」の中で既に「御伽話」になっていたサルーイン伝説が「御伽話」の中で現実のものとなる,メタな表現だった.他にも,ロベスピエールのエピソードが反映されたかのような鬼神刀に纏わるイベントなど,これらのRPGは現実世界とのリンクがそこここにある「御伽話」だ.