Entries from 2024-02-01 to 1 month

『ネジの回転』評

ヘンリー・ジェイムズ『ネジの回転』に関して簡単にまとめました. *** 『ネジの回転』はジェイムズの作品らしく心理描写が繊細であるが,指示語が何を示しているのかが分からない時がある.それがジェイムズの小説技法であることを後述する.ジェイムズ…

『緋文字』評

ナサニエル・ホーソーン『緋文字』に関して簡単にまとめました. *** ホーソーン『緋文字』にはアメリカの魔女狩りの歴史,ピューリタニズムによる抑圧,作家自身の先祖への思い,近代個人主義とプロテスタンティズム,19世紀の超絶主義との関係,英米の…

チェーホフ短編評

チェーホフの短編に関して簡単にまとめました. *** チェーホフの短編小説にはコミュニケーション不全の問題やアイロニー,不条理感覚が現れ,先行するリアリズム文学と対比される.「せつない」ではイオーナ・ポタポフという辻橇の御者が主人公で,息子…

『アンナ・カレーニナ』評

トルストイ『アンナ・カレーニナ』に関して簡単にまとめました. *** 『アンナ・カレーニナ』は「不倫小説」で,物語中では主人公のアンナが20歳年上の夫カレーニンとの結婚生活に飽き足らず近衛騎兵ウロンスキーと不倫の愛を愛でるが最後には鉄道自殺を…

『罪と罰』評

ドストエフスキー『罪と罰』に関して簡単にまとめました. *** 『罪と罰』には「犯罪小説」「思想小説」「都市小説」などの側面がある.当時のロシアの現実に根ざしたリアリズム小説でありながらも現実を超える幻想性や形而上性,予言性もある現代小説に…

『スワンの恋』評

プルーストの『失われた時を求めて』第一篇『スワン家の方へ』第二部『スワンの恋』に関して簡単にまとめました. *** 『スワンの恋』では,スワンの恋の進展を通して社会と人間の在り方の深層が描かれている.それと同時に「芸術」のテーマの重要性も考…

『ゴリオ爺さん』評

バルザック『ゴリオ爺さん』に関して簡単にまとめました. *** バルザックは個人と環境,社会を結びつけて時代の全貌を表現するリアリズム小説の旗手で,「風景」や「描写」に関して文学的な意味のある技術を取り入れ,「小説」というジャンルの地位向上…

David Bowie

David Bowieの曲をアルバム56枚,739曲分流し込む作業をしている.スタジオレコーディングを一通り聴いたので,Nothing Has Changedを聴いて復習がてらクールダウンしているところだ.明日以降,ライブ盤やサントラ盤を聴くことになる. 私がDavid Bowieを認…

【追記あり】Dionysus 2

パーシステントホモロジーの勉強の為,ラップトップでDionysus 2が動くようにした. https://mrzv.org/software/dionysus2/index.html パーシステンスの例として,ある整数係数上の1次元コサイクルを空間から円への写像に対応すると考え,パーシステントコサ…