『ファウンデーションシリーズ』4作目のアイザック・アシモフ『ファウンデーションの彼方へ』(早川書房)を読んだ.このシリーズでは初めて「地球」が登場し,ロボットシリーズとの絡みも出て来た.あるプランが「実行可能」であることと,実際にどのプランを「選択」するかの違いがどこから生まれるかの描写,アシモフが研究者だったことからの(半ば陳腐な)学者像,時代的にどんどん存在感を増していく女性描写なども秀逸だ.
アシモフのロボット工学三原則:
- ロボットは人間に危害を加えてはならない.また,その危険を看過することによって,人間に危害を及ぼしてはならない.
- ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない.ただし,あたえられた命令が,第一条に反する場合は,この限りでない.
- ロボットは,前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり,自己をまもらなければならない.
はあまりにも有名だ.この「第一条」を考えるだけで,たくさんのドラマやロボットの悲しい結末も予想出来る.
また,「地球」が出て来るのは,竹宮惠子の漫画『地球へ…』を連想させる.『ファウンデーションシリーズ』の初期三部作は1951-1953年にかけて出版されたが,『ファウンデーションの彼方へ』は1982年になってからなので,実は1977-1980年にかけて連載された『地球へ…』の方が古い.『地球へ…』は2007年にアニメ化され,設定はいろいろ変わっていて評判はあまり良くなかったが,私はそのアニメも結構好きだった.『地球へ…』より前の1968年には映画『猿の惑星』が,原作に「猿の惑星の正体は核戦争で荒廃した未来の地球」という設定を加えて公開されたが,私はSFに詳しくないので,「宇宙から見た地球」という設定がいつ頃からどういう系譜で出て来ているのかはよく分からない.
次作は,アシモフ版『ファウンデーションシリーズ』の時系列的に最後になる『ファウンデーションと地球』になる.