2019-nCoV #12

以下の記事で,「「SARS-CoV-2」のPCR検査の感度は、30~50%70%だという報告がありますが、いずれにしても100%ではありません。」という記述がありますが,これは全く信頼出来ません.

 

https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-sakamoto?utm_source=dynamic&utm_campaign=bfsharetwitter

 

理由は,30-50%の方は論文ではなくプレプリントの内容で,しかもリンク先のプレプリントが根拠ではなく,そこに引用されているテレビインタビューでの発言が根拠となっています.学術的価値はありません.また,臨床検査でPCR偽陰性と判定する為には,サンプルを採取した患者さんが確実にSARS-nCoV-2に感染しているという情報が事前に必要です.その為,PCRを使わずにどういう方法でその情報を手に入れたのかが不明です.PCRよりも確実な方法が存在している,という前提での話になります.

 

70%の方は一応,ジャーナルに掲載された記事のようですが,CTとの比較のメソドロジーの論文にも関わらず具体的にどのような方法でRT-PCRを行ったのかが不明です.現実的には論文としての体を為していないので,こちらも根拠にはなり得ません.

 

新しい病気の出だしにはこういった情報がいろいろ出て来ますが,根拠のないものばかりだということのいい例なので報告しておきます.

 

あと,PCR偽陰性はもういいと思いますが,PCR偽陽性はもっと考えられません.PCRで鋳型が無いのに増幅することはありません.また,プライマーの長さから考えられる,1組のプライマーが鋳型の配列と一致する確率,それが500 bp前後の長さの鋳型で実現される期待値を考えてみて下さい.しかもNestedならそれを2回することになります.