KING LEAR

ROYAL SHAKESPEARE COMPANYのSTRATFORD-UPON-AVON(SHAKESPEAREの生地)での2016年の公演 “KING LEAR” を観ました.物語の筋書きは皆さんご存知だと思いますが,年老いて耄碌し,一番loyaltyの高い人から追放しているようだと威厳も消え失せてごく一部の心ある人を除いて誰も言うことを聞かなくなり,最期は王家一門全滅になるという話です.現代でももっと小さなスケールでよくありそうな話で,テーマの普遍性が現れています.道化まで居た堪れなくなって途中で退出します.ここでもEdgarが発狂したと見えて立ち直り,最後の剣を取るSir Lancelot的立ち位置です(Sir Lancelotにも一時期発狂していた逸話があります).

 

黒澤明監督の『乱』はモチーフの1つに “KING LEAR” を挙げていて,似たような物語に欧米の方の好まれるようなカラフルな美術を与えています.ただこれを “KING LEAR” と比べると,最大の違いは使われている言語の違いにあります.Shakespeareの戯曲は詩のような独特のリズムとテンポ,韻があるので,それは日本語の話とは比較出来ませんし,日本語では再現はほぼ無理です.元の戯曲を役者がどういうメロディーやアクセント,間合いと共に料理していくかが一つの大きな見るポイントになります.実際の役者さんが演じているのを観ていると勉強になります.

 

King Learの元はブリトン人の伝説的王のLeir(ハッピーエンドで終わります)で,古くはウェールズ神話の海神Llŷr(half-speech若しくはhalf-languageという意味)に起するらしいです.Llŷrの息子のManannan mac lirはtriskelion(紋章ではdexterにperegrine falcon Falco peregrinus,sinisterにraven Corvus coraxを従えています.ラテン語でQuocunque Jeceris Stabit: whithersoever you throw it, it will standと書かれています.)で有名なMan島(マン島語GaelgではEllan Vannin.世界最古の議会と言われるArd-whaiyl Tinvaalがある.)の貿易商人でした.

 

最後にEdgarの最後の台詞を載せておきましょう.

 

“The weight of this sad time we must obey;
Speak what we feel, not what we ought to say.
The oldest hath borne most: we that are young
Shall never see so much, nor live so long.”

 

http://shakespeare.mit.edu/lear/lear.5.3.html

だと間違ってDuke of Albanyの台詞になっていますね.