コロナウイルスに対する免疫の持続性

新型コロナウイルスのワクチンに関して,あまり芳しからぬデータが出ていました(リンク先に元論文へのリンクあり).

 

https://www.news-medical.net/news/20210315/What-is-a-protective-neutralizing-antibody-titer-against-SARS-CoV-2-infection.aspx

 

まだプレプリントなので確かではないですが,これはワクチンで誘導される抗体価とワクチンのマクロの有効性との関係から継時的に測定された抗体価に基づきワクチンの有効性を予想し,その有効性の動態を予想したものです.このラフな予想だと,ワクチンの発症予防の有効性が50%ほどに下がるには8ヶ月間ほどしかかからず,ファイザーやモデルナのものなら8ヶ月おきにワクチンを打たないといけなそうなデータですね.1回目のワクチン接種による有効性が50%で,それでは心許ないので2度打ち,というスキームからはそうなりそうです.ただその場合でも,現行のワクチンで1回目接種より2回目接種の方が副反応は格段に増えるので,副反応の程度が複数回接種で悪化する可能性もありますね(副反応の頻度が最初から高いので,こういう問題が起こりやすいです).接種の間隔が開くのでどうなるかは分かりませんが,このデータを信頼すると大雑把には悪い状況が想定されます.

 

元々季節性のコロナウイルスに対する免疫は1年ほどしか続かないことがウイルス学者たちの間では半ば常識的な知識として知られていました.COVID-19の案件が出て来たので,ぽっと出で知識がない人の為に,それを現代的に纏めた論文もあります.

 

https://www.nature.com/articles/s41591-020-1083-1

 

それで今や希少価値のあるコロナウイルスの専門家は,新型コロナウイルスでも免疫は1年程度しか持続しないのではないかとCOVID-19流行の最初期から危惧していました.最初のデータでそれが8ヶ月に縮まるのかも知れませんが,仮にそうだとしたら,コストと労力を投与し,副反応の様子を見ながら8ヶ月おきにワクチンを接種する戦略を取るのか,それとも他のプランも検討するのか,議論が必要になるかも知れません.