因果関係と相関関係

SARS-CoV-2のワクチン追加接種率と人口当たり感染者数との見かけ上の相関関係が描けるようです.

 

https://twitter.com/h_okumura/status/1557926936420028416



 

ところが,この続きで,高齢化率,人口密度,平均年齢との見かけ上の相関も描けるようです.





 

 

つまり,何をとっても見かけ上の相関があるように見られ,どれが本当の因果関係かを見極めるのは難しいと思われます.擬似相関の可能性は排除出来ません.人口密度は少し異質ですが,例えば高齢化すれば当然ワクチンの追加接種率は上がり,平均年齢も上がることが考えられるでしょう.仮にこれらの相関が全てワクチンの効果だとしても,感染者が全員追加接種後2-4週間後の状態でワクチンの感染予防効果が75%だとして,それに対するグラフから読み取れる90%ほどの感染予防効果には達しないことが分かります.20%ほどの感染予防効果は,感染する可能性のある人の感染予防意識に伴う行動変容の効果を潜伏因子とした擬似相関なども考えられます.意識の高い人がよりワクチンを接種するということも考えられます.しかも,前提となるワクチンの感染予防効果が全て75%だというのは実際には明らかに成り立たず,ワクチンの効果は実際にはもっと低下していると考えられるので,それ以外の因子による効果は20%をもっと上回っているでしょう.交絡因子をきちんと分離していないので,これらのデータだけからは何も言えないでしょう.これで「おもしろい」「見事」とか言っている人は,こういう解析の論文のレフェリーはちょっと無理でしょう.交絡因子を一つ一つリストアップして可能性を潰していくというレビュー時の鉄則をしていないからです.Twitterは一時情報を集めるのには適していますが,それに関する意見やコメントの類は全く信用出来ません.

 

以前,ワクチン接種後の新規感染者数の最初のリバウンドが来る前に,「E◯RLの医学ツイート」というTwitterアカウントが新型コロナウイルスのワクチンの持続性について問題になった時に,「まさかの一生免疫」とかtweetしていたり,イスラエルで最初のリバウンドが来た後に「◯念実希人」というTwitterアカウントが「何が起こっているだろう」とかtweetしていましたが,免疫で一生免疫が普通付与されないものの例はたくさんあります.インフルエンザウイルスでも免疫が6ヶ月くらいしか持続しないことは以前から分かっていて,研究者はおろか一般の医師でも知っていなければならないレベルです.こういうレベルの低いアカウントに同調するのはtwitter特有の◯◯に同期されていく現象を体現するだけのことになります.情報の取捨選択は大切です.

 

参考:

www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp