2021/08/28までのSARS-CoV-2のexPzDomによる解析をアップします.重症者数のデータベースは28日の分が更新され次第追記します.
今回のPCR新規陽性者数の指標値の計算結果では生データから予測される通り,thresholdやexpected sumsの値は減少に転じています.一方,先行指標のRe(s)やE(l)は明らかに減少している地域が多いです.データ上は関東圏から地方に火が移ってきているように見えます.グラフの形状上は退行期に入っていますが,PCR検査の陽性率が高いので必ずしもそうとは限りません.
ファイザーは16-55歳の対象者をベースにしたコホートで,ワクチン接種者とプラセボ接種者の接種後の死亡率が全体では同じだというデータを公表したそうです.コロナに感染した場合,ワクチンの接種で重症化まではある程度防げるものの,死亡率は逆に上がったそうです.
https://www.news-postseven.com/archives/20210829_1686842.html?DETAIL
データの区切り方次第ではこういう結果にもなる,ということですね(だからメカニズムに迫らない大雑把なアウトプットだけのデータの解釈には注意を要します).確定した情報では無いですが,若い世代にはワクチン接種によるメリットはあまり無いかも知れないとのことです.
【追追記】「海外から「ワクチン接種者の方がデルタに対する死亡率が高い」という誤解を与える情報を仕入れ,YouTubeで拡散している「医者」がいる.年齢や基礎疾患が全く異なる2つのグループでの死亡率をただ比較することにはあまり意味がありません.すでにファクトチェックされています.」と述べられている方がいますが,これは犬房春彦氏のことに言及しているようです.ファクトチェックは2021/7/2のもの
ですが,私の投稿で述べたのはワクチンの製造元であるファイザー自身が2021/7/28に発表した論文のことです.基礎疾患については分かりませんが,年齢に関するコントロールは取れている筈です.犬房春彦氏の他の主張は論外だとしても,ファクトチェックした筈のものがワクチン製造者の側からまた主張されるのはどういうことか,と思って御大に聞いてみました.御大の考えでは,こういうのは集団の取り方で結果を如何様にも捻出出来るので,もっとクールで精細にデータを見れるようになるまでは無視すれば良い,大抵は値が高くも低くもならず,差(効果)はなかったということに落ち着く,とのことでした.やはりこういうざっくりしたデータの印象はあまり信頼出来るものでは無いとのことです.
【追記】COVID-19重症者数の方は生データやthreshold,expected sumsに関しては急激に増加し続けています.Expected sumsは第4波の最高値の水準を超えました.一方,先行指標のRe(s)は全国的におおよそ緩増モードですが,値は引き続き停滞気味です. 同じく先行指標のE(l)もそうです.踊り場に入りつつあるのかも知れません.
PCR新規陽性者数
COVID-19重症者数