ファウンデーションへの序曲

ファウンデーションシリーズ』6作目のアイザック・アシモフファウンデーションへの序曲』(早川書房)を読んだ.

 

アシモフの作品はエンターテインメント性が高いが,文章の中にいろいろな仕掛けがあって,それが次々と作動していく様を見るのは面白い.例えば上記の作品での帝国の衰退は,現代の日本の状況にも準えられるような歴史的な仕掛けもあれば,単なるコメディの連続であるような仕掛けもある.学者の言い回しは,アシモフ自身が研究者であったことから現実感が高い.マクロスも出て来たが,私はアシモフのことは今まで「ロボット工学三原則」と物語的に『ドラえもん』の遠いご先祖様であることくらいしか知らなかったので,アシモフが日本のSFにも興味があったのかは知らない.ヒューミンの正体は最初から予想していた通りだが,原初の惑星やそのモデルとしてのトランターなど,普遍性と多様性のせめぎ合いを考える上で適切な設定が為されている.なかなか魅力的な作品群だ.

 

次はファウンデーションシリーズ7作目(最終巻)になる.