20210102exPzDom

2021/01/02までのSARS-CoV-2のexPzDomによる解析をアップします.PCR新規陽性者数の指標値はほぼ緩増モードです.また状況が悪化していますね.COVID-19重症者数の指標値の方はおおよそ緩増モードです.

 

D614Gはほぼ中立な変異ではないか,と以前書きましたが,昨年11月にその伝達率が他のものと有意差はないという論文が出ています.

 

https://www.nature.com/articles/s41467-020-19818-2

 

これが決定打ではないですが,河岡さんたちが報告したような齧歯類個体レベルでの適応が実際のヒト集団レベルにまで拡張される証拠はどこにもない,ということは言えるでしょう.

また,イギリス発?のSARS-CoV-2のvariantのVOC202012/01に関して,Public Health Englandは第一報では注意を喚起したものの,第二報では対照群をきちんと取れば入院率や再感染率に野生型とvariantで有意差は無かったとしています.

 

https://www.gov.uk/government/publications/investigation-of-novel-sars-cov-2-variant-variant-of-concern-20201201

 

これも決定打では勿論ないですが,VOC202012/01が適応変異を持っていると判断するのは時期尚早ということでしょう.FacebookTwitter,その他のInternetの情報は参加人数が多いので狭い世界の話ではないのですが,同じような意見を持った人の間での閉じた世界の話が優勢になることが多いです.情報の根拠をしっかりと把握して適切な情報発信をすることは求められますし,研究者なら査読レベルの慎重さは当然求められると思います.詳しくは書けませんが論文査読の世界にもこのようなネット上の「空気」に影響されたかのような事象が出て来ているので,特にです.数学の証明とは違うので,異なる条件下での観察を無闇矢鱈と拡張するとグレーゾーンを無視した出鱈目な情報になるのは当たり前のことです.またファクターが増えると,大抵はセンセーショナルでは無くなります.人間のキャリアパスと一緒で,「たまたま」の結果を過大評価しがちなのですね.研究レベルの話だと,世界中のほとんど全員が間違っている(大多数は興味を示していないとも言えますが...)というのは日常茶飯事です.

 

 

 

PCR新規陽性者数

 

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COVID-19重症者数

 

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