Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 後編

アニメ映画『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』の後編を観ました.ベディヴィア卿は瀕死のアーサー王に頼まれてエクスカリバーを湖の貴婦人に返す時に,剣が惜しくなって二回アーサー王に剣を湖に投げ込んだと嘘を付き,アーサー王のダメ出しを受けて三回目でやっと剣を投げ込み,湖から現れた腕がそれを掴んで三回振って水中に没する,というのがオリジナルのエピソードでした.映画ではアーサー王とベディヴィア卿のやり取りで,三回目でもベディヴィア卿が剣を湖に返さなかったとしたら,という物語の転換が話の核心でした.イエスとペトロのエピソードにも繋がる,キリスト教的エピソードでした.過ちを犯したからと言って,それが全て悪い方向に向かうという訳でも無いのですね.モルドレッド卿と玄奘三蔵キリスト教と仏教の小問答をしており,それも話の核心に関わって来ました.ガウェイン卿の話も,オリジナルではガレス卿をランスロット卿が過って殺したことで遂にランスロット卿と決戦に望んだことに対し,今度は忠義の為にガレス卿すら手にかけたことになっています.ガウェイン卿は日が昇っている間は無敵なのでランスロット卿はその間は防御に徹し,日が沈んでからガウェイン卿に重傷を負わせたという設定も話の各所で生きており,ランスロット卿とアグラヴェイン卿の「虚構の世界」と「現実の世界」で汚名を着た者同士の戦いと合わせてオリジナルをリスペクトしたパロディ作品でした.