武衛

昨日から今日にかけて日本語のネットを「武衛」という単語が席巻している.昨日のNHK大河ドラマの展開はアニメ『PSYCHO-PASS』の塩谷監督も誉めていたが,確かに古き良き『PSYCHO-PASS』みたいな話の展開だった.

 

ところで,「武衛」という言葉は,実は『吾妻鏡』の中で頼朝のことを表す単語として度々登場する.大河ドラマ三浦義村が頼朝の呼称を「武衛」とすることを提案し,それに上総広常だけがのって「武衛,武衛」と言い出した時は,最初は何故そういう設定がなされたのかよく分からなかった.昨日の展開を見て合点が行った.というのも,今回の大河ドラマを観て上総広常の「武衛」という発言が印象付けられた人は,吾妻鏡を手に取って読めば,そこに並ぶ「武衛」という言葉に,まるで上総広常の亡霊が『吾妻鏡』に取り憑いて語り部となったかのように錯覚するのだ(『吾妻鏡』の具体的な編纂者は未だ不明).三谷幸喜さんはおそらく『吾妻鏡』のリーディングも射程に入れて,ほとんど上総広常だけに「武衛」という言葉を使わせたのだろう.役者陣の山本耕史さんと佐藤浩市さんの仲がよく,セットでインタビューされているのにもそういう差配があるのかも知れない.「武衛」という言葉に興味を持った人は,是非『吾妻鏡』も原文で読んでみよう.#全部山本耕史のせい