Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編

アニメ映画『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』を観ました.FGOシリーズはそれ単体で楽しもうとするといろいろ意味不明なので無理があって,元ネタをどう解釈するかを楽しむか,あるいはFGOをイントロにその元ネタを探って行って理解出来るかです.いろいろな民族の歴史的風俗をrespectした映像が楽しめる(とは言っても特にサーヴァントのコスチュームとか,魔改造が過ぎますが...)のも魅力です.仏教っぽいことをブツブツ言い出したら玄奘三蔵とか,いろいろ吹き出せます.

 

ベディヴィア卿が隻腕の騎士だったというバージョンの逸話が他のケルト神話と共に話に生かされていますね.ベディヴィア卿は瀕死のアーサー王に頼まれてエクスカリバーを湖の貴婦人に返す時に,剣が惜しくなって二回アーサー王に剣を湖に投げ込んだと嘘を付き,アーサー王のダメ出しを受けて三回目でやっと剣を投げ込み,湖から現れた腕がそれを掴んで三回振って水中に没します.これは主を三度知らないと言った人が元ネタですね.その人はその場で主と一緒に磔にならなかったので,ローマ帝国全土を席巻する宗教の礎を築き,最期は逆十字に架けられます.その弟もX十字に架けられるなど,兄弟揃って変則的な殉教をしました.こういう背景を知っていると,アーラシュとベディヴィア卿のストーリーも何と無く見えて来ます.自己満足とは対極にあるストーリーですね.

 

アーサー王の話の続きは,ベディヴィア卿が湖までアーサー王を連れて行くと,三人の貴婦人(一人はアーサー王の異父姉の魔女モーガン・ル・フェイ)が小船で現れてアーサー王をアヴァロンに連れて行き,ベディヴィア卿は修道院に入ります.ベディヴィア卿がアーサー王の死んだことを後で知る(つまり,ベディヴィア卿が時間をロスさせた)話のバージョンもあります.ベディヴィア卿の「後悔」にはこういう背景もあります.

 

普通にエンタメ映画として楽しめたので,後編が楽しみです.