コロナウイルスに対するワクチンの有効率

まだ確定した話ではないと思いますが,新型コロナウイルスに対するファイザーのワクチンの有効率に関して少し気になるニュースがありました.

 

https://www.businessinsider.com/israel-covid-boss-single-vaccine-dose-less-effective-than-hoped-2021-1

 

この記事だと,第1回目のワクチン接種後の有効率はイスラエルで33%,イギリスで89%になったと読めます.治験時の52%(1回目の値で,2回目ではないのに注意)とは,下と上に振れて食い違う値です.接種人数からすれば確率論的な振れではないと思います.これに関し,3通りの要因を簡単に考えてみました.

 

  1. 接種対象者に偏りがある.

治験時の接種対象者はコントロールされている筈ですが,イスラエルは今の所45歳以上,イギリスは高齢者と感染リスクの高い人に絞られています.国レベルの実施で偏りがあるのは事実です.ただ,それだけでこの大きなくい違いを説明出来るのかは謎です.

 

  1. 接種者数に違いがある.

治験は約4万4千人,イスラエルでは20日現在で約243万人,イギリスでは18日現在で約406万人と,国レベルの実施は治験時よりは圧倒的に大人数です.接種者数だけからみれば国レベルの実施時の値の方が信頼出来ますが,それでもイスラエルとイギリスの食い違いは解せません.

 

  1. 有効性の定義がそもそも違う.

イスラエルファイザーからワクチンの大量供給を受けるのとは引き換えに情報提供をしている筈なので,治験とイスラエルの有効性という言葉の定義は同じ筈です.イギリスは異なるかも知れません.

 

上記3つのポイントからして,イスラエルのデータは治験の延長上にあると解釈出来るので,決定打ではありませんがこれは悪いニュースです.イギリスの方は何故有効性が高く出ているのかは不明です.ただ,これだけの接種数で3通りに大きく値が食い違うのは未だ謎だと言わざるを得ません.気になるニュースでした.

 

余談ですが,アメリカやイギリスでは1回目の接種のみを広く行って2回目の接種を当分行わないという案が出ているそうです.以前も述べましたがファイザープロトコル通りにやらないと有効性がガクンと下がる可能性が非常に高いです.イスラエルを見習ってプロトコル通りに行い,有効性が確認出来るか,問題があればどこに問題があるのかがはっきり分かる形で行うべきです.プロトコル通りでないと何が何だか分からなくなります.