第49回衆議院議員総選挙雑感

2021/10/31に第49回衆議院議員総選挙が行われました.その結果,自由民主党立憲民主党日本共産党議席を減らし,日本維新の会が躍進,その他の党はNHKと裁判している党弁護士72条違反での議席が消滅した他は,議席数が微増か現状維持でした.まるで別の国のような小選挙区大阪府の結果を見て分かるように,自民党でなければ受け皿はリベラル党ではなく,新自由主義に近い日本維新の会でした.

 

ただ疑問に思うのは,大阪府のCOVID-19対策の現況は東京都よりも悪く,それを齎したのは医療のハードの面でもソフトの面でも維新の会でしょう.それなのに大阪府民の多くが両手を挙げて維新の会に賛成なのは気になる所です.

 

大体今は新自由主義とかで水道事業などの民営化にも着手している所もありますが,これは「公共財」とか「費用逓減産業」などの理解があやしい人たちが行なっていることです.産業のうち固定費の割合が非常に大きく,大規模な設備投資や研究開発が必要な為に市場への新規参入が困難だと,自然独占が起こって社会厚生が減少し,サービスが悪くなります.公共性が高くて極めて重要な産業でも消費者には過小供給になります.その為に,今までは自治体などを母体に事業が行われて来た訳です.これは市場が失敗する有名な例の1つで,過去の教訓がある訳です.何でもかんでも市場原理に任せれば良いものではないことはたくさんあり,2021/10/31の大河ドラマでもダンピングの話が出て来て,今の独占禁止法に繋がる話でした.社会には市場に任せて良い部分と悪い部分があります.ここら辺はどこをどうひっくり返しても役に立つ話として大学の経済学で習う筈ですが,その理解の怪しい人が多勢います.

 

ただ,分野の入門的知識の怪しい人は何も経済学だけに限らず,他の分野でも多勢います.例えば免疫応答には記憶細胞が関わるので免疫は何でも一生付与されると思い込んでいる人も多勢いますが,それは間違いです.勿論そういう免疫もありますが,そうでないものもあります.ウイルスに感染後に中和抗体価が下がっても二次応答で再び抗体価は上がりますが,それには限度があります.コロナウイルスやインフルエンザウイルスの場合,免疫は数ヶ月しか続かないことが分かっています.もう大分前からそれは分かっているのですが,経済の話と同様に一度構築した知的体系が劣化することはよくあります.メディアは気をつけないといけません.

 

知的体系が劣化しても,指摘されれば直ぐに認識を改めてもらえれば問題は無いのですが,どうも最近のアカデミアでも企業さんでも新自由主義的な所は知らない知識の確認をするのは相手がその知識がないことを周りに知らしめる為に失礼なことであり,やってはいけないことだと怒る案件になることもあるようです.こういう人に限って部下を小馬鹿にしながらこき使っているので,信頼出来ないです.人が違えば知識も異なるのは当たり前で,知らないこと自体は何も恥ずかしい訳でもないのに,建設的な議論が何も出来なくなります. そういった意味で,私は新自由主義の社会というものがあまり好きではありません.人を物のように扱い出すと,その捉え方が不完全な為に齟齬がたくさん起きます.