【追記あり】20230114exPzDom

2023/01/14までのSARS-CoV-2のexPzDomによる解析をアップします.

 

今回のPCR新規陽性者数の指標値の計算結果では,全国レベルではthresholdもexpected sumsも値が下降に転じています.ただ,これらは既に第7波レベルと同程度かそれを越え,今までで最大の波になっていることを示唆しています.生データでそうなっていないのは,検査が徹底されていないので実測値が実態を反映せず過小評価している可能性があります.1日当たりの死者数が最高値を更新し続けているというのもそれを裏付けます.その一方で,先行指標のRe(s)の値は減少傾向で,E(l)の値もはっきりと減少傾向になっています.実効再生産数の方も,ようやく減少傾向に入りました.そろそろピーク越えに差し掛かっているのかも知れません.

 

今回のCOVID-19重症者数については,生データやthreshold,expected sumsに関しては値が上昇傾向で,第7波のレベルを越えています.一方,先行指標のRe(s)は緩減モードの地域がほとんどで値は下降傾向で,同じく先行指標のE(l)も値が下降傾向です.ですが,まだ雲行きが怪しい状況です.大阪府などは状況が悪いと見るべきです.因みに,第7波と第8波のピークは低いように見えますが,東京都と大阪府は重症者の定義を途中で変えたので,第6波以前との時間軸上の比較は出来ません.死者数については前も述べたように第7波のピークが最も高いので,同じ基準なら重症者数の波も死者数の波と同様になる筈です.第6波での定義変更以降では,expected sumsは既に第7波を越え過去最高レベルで,実際に1日当たりの死者数は過去最高を更新し続けています.定義の定まらない重症者数だけをそのまま見ていても誤った印象を受けるでしょう.重症者数の一連の定義変更は,データが実態を反映しなくなることに繋がったと結論づけていいでしょう.現在は死者数においても最大の波が来ていると見るべきでしょう.こちらはPCR新規陽性者数よりも遅延性の性質がある為,まだピークは見えません.

 

【追記】東大の河岡先生がコロナウイルスとインフルエンザウイルスがウイルス干渉で感染が両立しない可能性のあることを疫学データで示したという話が出ましたが,それをウイルス干渉が証明されたとか,COVID-19とインフルエンザの同時流行はデマだと言っている人々がいます.疫学データはバルクのアウトプットを見ているだけなので,その背景にあるメカニズムについては情報が得られていません.可能性はたくさんあります.それを実験することによりこれから仮説を検証しようという話であるところに,「証明された」「デマ」という言葉を引き合いに出すのはNGです.何がどう示されたらどの程度まで確からしい話になるのかということを全く分かっていないことが明るみになるので,専門家にはそういう如何わしい発言をtweetしたりretweetしたりしがちな人だということがバレるのですね.テキトーな言葉遣いで放言している人には気をつけましょう.

 

PCR新規陽性者数








 

 

 

 

 

COVID-19重症者数