20230121exPzDom

2023/01/21までのSARS-CoV-2のexPzDomによる解析をアップします.

 

今回のPCR新規陽性者数の指標値の計算結果では,全国レベルではthresholdもexpected sumsも値が下降に転じています.実効再生産数の方は顕著に減少傾向で,ピークは越えているようです.ただ,今回の第8波の推移は既に第7波レベルと同程度かそれを越え,今までで最大の波になっていることを示唆しています.生データでそうなっていないのは,検査が徹底されていないので実測値が実態を反映せず過小評価している可能性があります.1日当たりの死者数が多いのもそれを裏付けます.その一方で,先行指標のRe(s)の値は停滞傾向で,E(l)の値も停滞気味です.この先は陽性者数の減少がすぐに鈍化するかも知れません.

 

今回のCOVID-19重症者数については,生データやthreshold,expected sumsに関しては値が上昇傾向で,第7波のレベルを越えています.一方,先行指標のRe(s)は緩減モードの地域がほとんどで値は停滞傾向で,同じく先行指標のE(l)も値がやや上昇傾向です.ですが,まだ雲行きが怪しい状況です.大阪府などは状況が悪いと見るべきです.因みに,第7波と第8波のピークは低いように見えますが,東京都と大阪府は重症者の定義を途中で変えたので,第6波以前との時間軸上の比較は出来ません.死者数については前も述べたように第7波のピークが最も高いので,同じ基準なら重症者数の波も死者数の波と同様になる筈です.第6波での定義変更以降では,expected sumsは既に第7波を越え過去最高レベルで,実際に1日当たりの死者数は過去最高を更新する日もあります.定義の定まらない重症者数だけをそのまま見ていても誤った印象を受けるでしょう.重症者数の一連の定義変更は,データが実態を反映しなくなることに繋がったと結論づけていいでしょう.現在は死者数においても最大の波が来ていると見るべきでしょう.こちらはPCR新規陽性者数よりも遅延性の性質がある為,まだピークは見えません.

 

今のCOVID-19は致死率が低くなっているので気にすることはないと仰っている方々がいますが,社会的インパクトにおいて考慮するべきことは病気の致死率ではなくて死亡者の絶対数の方でしょう.致死率を考えるのならエボラに対する対策を率先して行わないといけないことになりますが,そんな馬鹿なことにならないのは日本でエボラが流行してはいないからです.致死率と感染者数の両方が関わった結果が死亡者の絶対数で,これがその社会における病気のインパクトの指標の1つになる訳です.それは今回のCOVID-19の波では過去最多になり,対策は急務の筈です.日本の現状はより大したことのない時に騒ぎ立て,インパクトが大きくなってから対策を緩和するという,客観的には意味不明の状況です.外国でもCOVID-19対策は緩和されていますが,日本と違って死者数は現在は最多にはなっていないからです(それでも,かなり多くの方々が日々亡くなっています.新規感染者数がそれ程多くないように見受けられるのは単に検査を積極的にしていないことが原因であることが,死者数の多さから推察されます.).日本で何故致死率に拘る人々がいるのか,よく分かりません.

 

PCR新規陽性者数








 

 

 

 

 

COVID-19重症者数