AIと人間

「AI開発「免許制にすべきだ」 チャットGPT開発CEOが提案」という記事が共同通信その他から出ていた.

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/fc9a9e7e339c60e9dd3445f26f23e395a68ed284

 

この記事の最後に,「出席した議員からは、チャットGPTを含めた対話型AIによる誤情報拡散のほか、プライバシー侵害への批判や、雇用の削減につながる懸念などが相次いだ。」という文が出ている.

 

これ,何もAIについてだけではなく,「誤情報の拡散」「プライバシーの侵害」「(不適格な人への雇用の偏りという意味での)雇用の削減」なんて普通の人間社会に関しても見られる特徴ではないかと思う.論理的に推論せずに誤情報を拡散する人は大勢いるし,プライバシーの侵害なんて日常茶飯事だし,システムの目標の達成に向けて努力するよりも周囲に対して自分が優秀であるということを演出する技術を磨くことにだけ特化して実りのある作業を何もしない人ばかり雇用されていく,という事態は現代の普通の人間社会にもごく普遍的に見られると思う.そういう意味で上の文を読むとゲシュタルト崩壊を感じる.それで,上にあげたような能力は間もなくAIが人間を凌駕して行くと思う.つまり,今のままの社会路線は必然的にAIが支配する社会へと邁進して行くと思う.

 

一つ気になるのは,システムの目標の達成を念頭に努力するような「誠実さ」が,最近はとんと見られなくなったということだ.むしろ,周囲に対して自分が優秀であるということを演出する技術を磨くことにだけ特化して実りのある作業を何もしない人側から「組織の秩序を乱す」という逆転の発想でマイナスに作用することが多い.昔ながらの美徳は現在では通用せず,周囲に対して自分が優秀であるということを演出する技術を磨くことにだけ特化して実りのある作業を何もしない人がアカデミアも含めて跋扈しているのだと思う.自己保存以外の目的意識を欠いたAIが支配するようになるのも,当然の流れのような気がする.私は複製・代謝・区画化による自己保存能以外にも生物の特性はあると思っているので,生物学的な意味で今のAI開発が適切な路線を取っているとは思わないが,そうではない人も多いのだろう.機械学習に欠けているものが何かということだ.