OTHELLO

ROYAL SHAKESPEARE COMPANYのSTRATFORD-UPON-AVON(SHAKESPEAREの生地)での2015年の公演 “OTHELLO” を観ました.衣装や舞台転換の仕方,独白時の演出など,現代的な要素がてんこ盛りでした.物語の筋書きは皆さんご存知だと思いますが,カリスマ的な軍人がある部下の嫌がらせで些細なことから変質してしまい,全てを失う話です.愛や妬みが如何に人間を狂わせるかがよく描写されていることで,普遍性があります.Othelloムーア人で,その境遇にも関わらずヴェニスで立身出世をします.ボードゲームのオセロの名前の由来です.元々はイタリアのCinthioの “Un Capitano Moro” という “Gli Hecatommithi”の第3篇第7話に由るらしいです.

 

Othello古代ローマではOthoとも言いますが,その語源は分かっていないそうです.1世紀のローマ皇帝にも同名の者がいます.エトルリア系でNeroの親友であり,Lusitania総督として善政をした為に人気がありました.皇帝になる際に買収や暗殺を行い,Aulus Vitellius Germanicusに敗れて自殺したそうです.この時期にころころ変わった皇帝の一人でした.

 

Othelloの最後から2番目の台詞,

 

“Soft you; a word or two before you go.
I have done the state some service, and they know't.
No more of that. I pray you, in your letters,
When you shall these unlucky deeds relate,
Speak of me as I am; nothing extenuate,
Nor set down aught in malice: then must you speak
Of one that loved not wisely but too well;
Of one not easily jealous, but being wrought
Perplex'd in the extreme; of one whose hand,
Like the base Indian, threw a pearl away
Richer than all his tribe; of one whose subdued eyes,
Albeit unused to the melting mood,
Drop tears as fast as the Arabian trees
Their medicinal gum. Set you down this;
And say besides, that in Aleppo once,
Where a malignant and a turban'd Turk
Beat a Venetian and traduced the state,
I took by the throat the circumcised dog,
And smote him, thus.”

 

も,こういうことがあってからは虚しく聞こえます.

 

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Shakespeareの四大悲劇と言えばあと “Macbeth” がありますが,それはこのDVDセットには入っていませんでした.でも個人的にはそれで良かったです.というのも,次のような話があったからです.中学生の頃に日本語の『マクベス』を観たことがありました.台詞回しも原作とは違っていて最後に,マクダフが『オレハまくだふダー!』と非常に下手くそに叫んでいて,全てがぶち壊しに思えたので悲劇ではなく喜劇に思えました.また,同じ頃に東京サンシャインボーイズの『ショウ・マスト・ゴー・オン〜幕を降ろすな』を観て,佐藤B作が劇中劇の『マクベス』でマクベスマクベス夫人もマクダフも演じていたので,佐藤B作が出ている芝居は全てコメディに見えるという不治の病に罹患していたことからも『マクベス』が喜劇に思えるようになってしまいました.日本には劇団☆新感線の『メタルマクベス』もあるので,『マクベス』は今回はいいよ,という感じになりました.