STORIES FOR YOUR LIFE AND OTHERS

TED CHIANGのSF短編集 “STORIES FOR YOUR LIFE AND OTHERS” (VINTAGE) を読んだ.以下,その雑感.

 

“Tower of Babylon”

途中で結末が読める,オーソドックスな話だった.

 

“Understand”

脳筋な話だった.

 

“Division by Zero”

0 = 1 (= 2)のケースは数学的に普通にあり得ると思うのだけれど(私もよく使う)...その設定が数学を根底から揺るがすことにはならない.SFは文章表現が淡々としている分,設定でコケるとかなりイタい.

 

“Story of Your Life”

映画 “ARRIVAL” の原作.

https://shunadachi.hatenablog.com/entry/2017/05/20/214601

最小(最大)作用の原理を上手く話の中に織り込んで,私たちのような時間の矢に沿って生きる生き物とは異なる,スタートとゴールから逆算する生き物を描いているのは面白い.

 

“Seventy-Two Letters”

生殖や発生に関するかなり専門的な内容(現実の自然科学的な背景あり)に幾つかのバグが入り,前近代的な話になっていて面白い.

 

“The Evolution of Human Science”

‘Metahuman’ という概念が出て来て人間概念が拡張されるので面白い.

 

“Hell is the Absence of God”

キリスト教が暗に皮肉られている.Ted Chiangは「現在 無神論者」(信仰によってではなく純粋な探究心からの宗教への興味はある).

 

“Liking What You See: A Documentary”

CalliをSNSと読み替えると現代にも通じる.