【追記あり】鎌倉殿の13人#20

今週の『鎌倉殿の13人』は『帰ってきた義経』と言うタイトルで,多くの人はどうせ帰って来るのは義経の首だろう,とたかをくくっていたように思う.それはその通りだったが,もう1つ別の意味合いでの「帰還」があった.人は追い詰めるとその内に達観を見出すことも多いが,その達観の内容は人により千差万別だ.義経の場合,義時と景時を介して「兄」に宛てた最後の手紙に,「戦のない世で,私のような者はどうやって生きていけばよいのだ」と言った彼の「兄」への回答があった.頼朝は方便でなく本気で義経を怒る描写が今まで1つもなく,京へ出立する義経の最後を見送る時の会話が今回のラストでちゃんと回収された.

 

『鎌倉殿の13人』では因果応報の考えの元,実に様々な伏線が張り巡らされている.今回は,例えば静の舞が大姫の話への伏線の一部になっているし,進行中の曽我物語も頼朝の因果応報の一部に明らかになっている.頼朝と義経の物語も,後々の幕府の初代将軍が弟を殺したり,既に妻子を手にかけていたことへの因果応報ともなっている.頼朝の仏像への祈りはそういう所にも繋がるのかも知れない.あと,御館や,段々義時らしくなって来た義時の演技も圧巻でしたね.

 

【追記】「義時と景時を介して「兄」に宛てた最後の手紙に,「戦のない世で,私のような者はどうやって生きていけばよいのだ」と言った彼の「兄」への回答があった.」と書きましたが,これは,鎌倉の攻め方を提示することでその守り方へのヒントを兄上たちに提示するということですよ.自分はもういらないので,戦の仕方を跡に残すということです.新田云々の話はそこから展開されます.念のため.