鎌倉殿の13人#23

今週の『鎌倉殿の13人』では,曽我兄弟が仇討ちの後に何故か頼朝まで襲おうとした史実にかけて,「仇討ちに見せかけた謀反」を「謀反に見せかけた仇討ち」に仕立て上げてしまうという,真実を闇に葬り去って都合の良い解釈を与えることが為された.これはメタには北条側の視点に拠った典拠の『吾妻鏡』や,そもそもフィクションである『鎌倉殿の13人』への自己言及を含め,「歴史」は欲望の塊のような人が好き勝手に解釈して都合の良いように仕立て上げられるという,義経を含めこの物語のテーマの根幹に関わって来ている.ある事件の真実は一部の人のみにしか見えず,そこには一期一会があるということだ.後世の人に伝わるのは所詮歪んだ虚像であり,それを分かった上でどう行動していくかということだ.義時は徐々にその本領を発揮していくことになりそうだ.