オデュッセイア

ホメロスオデュッセイア』について文章3つを書いてみました.

 

オデュッセウスの出会う困難と対処法

第9歌:トロイアからの帰途で,オデュッセウス一行はキュクロプス族の島に流れ着く.洞窟に入るとそこは隻眼の巨人であるキュクロプス族のポリュぺモスの住処であり,彼に入り口を塞がれて仲間を2人ずつ喰われて行く.オデュッセウスは船をどこに泊めたかと尋ねられると,船は岩礁に打ち付けて粉々になったと嘘をつく.そして巨人に美酒を勧め,名は「ウーティス(誰も〜ない)」だと答える.巨人が酒に酔って寝込むと,用意しておいた先の尖ったオリーブの丸太を真っ赤に熱し,巨人の目に突き立ててグルグル回す.ポリュペモスは近くの巨人たちに助けを求めるが,その問いかけに「ああ皆の衆,暴力ではなく,企みで俺を殺そうとしている奴はなあ,『誰もおらぬ』のだ.」と答え,他の巨人たちに見捨てられる.巨人が入り口の大石を取り除いて戸口を開けると,オデュッセウスと仲間たちは外に出て行こうとする羊を3頭ずつ結び合わせ,真ん中の羊の腹の下に潜り込んで無事逃げる.

第10歌:風の神の島を出た後,故郷が目前に迫る.オデュッセウスが貰った逆風を封じ込めた袋を財宝の入った袋だと勘違いした僚友たちが,オデュッセウスが眠っている隙に袋の口を開け,一挙に暴風が吹いて風の神の島に戻される.オデュッセウスは死にたいと思うほどの絶望を抱えるが,辛抱強く忍耐をする.そしてアイアイエー島の魔女キルケーに仲間たちを豚にされるが,オデュッセウスはヘルメースに授けられた魔法を防ぐハーブのモーリュにより助かる.キルケーは予言を得るため,オデュッセウスがオーケアノスを越えて冥界に行かなければならないと言う.

第11歌:オデュッセウスはヘーラクレースのジブラルタル海峡を越えて冥界に行き,母アンティクレイアの幽霊やトロイア戦争で死んだ兵士の幽霊に会う.また,予言者テイレシアースに会って予言を得る.

第12歌:オデュッセウスはキルケーの館より出て仲間たちと船を進ませるが,その際セイレーンという人の顔と鳥の身体を持つ怪物のいる島の傍らを船が通過する.セイレーンたちの歌を聴くと,全ての記憶を失ってセイレーンに近づきその餌食となる.オデュッセウスは仲間たちの耳を蜜蝋で塞ぎ,自分は帆柱に縛り付けてもらって身動きを出来ないようにする.オデュッセウスはセイレーンの島の近くに来ると叫ぶが,仲間たちは歌もその言葉も聞こえないので無視して進む.そして歌が聴こえなくなり,落ち着きを取り戻したオデュッセウスを仲間たちは解放する.次にスキュラのいる岩の横を通過する.スキュラは六つの頭で六人を咥えて食べるが,オデュッセウスを初め他の仲間はそこを通過する.それからへーリオスの家畜がいるトリーナキエー島に一行は上陸する.オデュッセウスは予め警告を受けていたが,仲間たちは上陸すると言って聞かないので渋々上陸する.そこで仲間がヘーリオスの家畜を殺して食べた為,へーリオスは怒ってゼウスに訴え,ゼウスは船に雷を落とす.船はカリュブディスの近くに流され,大渦巻きに仲間もろとも飲み込まれる.オデュッセウスだけは助かり,カリュプソーの島に流れ着く.

 

オデュッセウスが自らの帰国をすぐに妻に伝えなかった理由

オデュッセウスが帰国後直ぐに妻に自分の帰国を伝えると,復讐計画が失敗する可能性が高くなるため.オデュッセウスの妻への求婚者たちはオデュッセウスの館で毎日飲み食いし,「主客の儀」を侵犯しているが,それに対する復讐のためには弓競技が必要で,オデュッセウスが身分を偽ったままの状態であることが求められた.

 

オデュッセイア』の枕詞

「機略縦横なる」,「智謀に富める」はオデュッセウスが知の英雄であることを,「賢明の誉れも高き」「人並み外れて奸智に長けた」はオデュッセウスに勝るとも劣らない知力の持ち主であるペネロペイアのことを指す.どれも知力が高いことを表す.