2021/11/06までのSARS-CoV-2のexPzDomによる解析をアップします.COVID-19重症者数のデータは6日分のデータが更新され次第追記します.
今回のPCR新規陽性者数の指標値の計算結果では生データから予測される通り,thresholdやexpected sumsの値は下げ止まっています.先行指標のRe(s)はPCR新規陽性者数に影響を与えるモードとしては減少モードの所がほとんどですが,下げ止まりになっています.同じく先行指標のE(l)は切り返したと思われましたが,実際は停滞気味のようです.何れにせよ,そろそろ冬の感染者増加を見計らって準備を急がないといけませんね.第1波の前のレベルまでE(l)が下降することは達成出来なさそうです.北海道,宮城県,千葉県,岡山県,広島県,福岡県など,地域によっては陽性者数がまた若干増加傾向の所もあります.少なくとも,底をついているようには見えます.
日本での緊急事態宣言の新指標からはPCR新規陽性者数を無くす方向であるらしいです.
https://www.asahi.com/articles/ASPC574RBPC5ULBJ01K.html?ref=tw_asahi
ワクチン接種者の増加でウイルスに感染しても入院率や死亡率は低く抑えられるからだそうです.それはそれでいいのですが,(イギリスはよく分かりませんが)イスラエルやアメリカ合衆国の例を見ている限り,ワクチン接種率が上がっても感染者数が増加すると入院者数や死亡者数は結局の所引き摺られて上がって来ることが分かります.そういう意味で,PCR新規陽性者数は先行指標なので,体勢の準備の為に(抗原検査でなく)PCR検査は引き続き積極的に行うべきです.
SARS-CoV-2のMproというプロテアーゼの阻害剤PF-07321332と,それを安定化するritonavirがCOVID-19による入院や死亡率を89%抑制したそうです.
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abl4784
これらの報告通りに薬剤が本当に作用するのなら,これは朗報です.Scienceの論文は動物実験まではかなり詳しく調べられています.核酸アナログのモルヌピラビルとは作用機序が異なるので,必要なら変異ウイルスの出現を抑える多剤併用療法にも使える可能性があります.モルヌピラビルが核酸アナログなので副作用を心配する声もありますが,安全性試験を通る程度のリスクであることは念頭に置いておいた方がいいと思います.核酸アナログを認識するウイルスの酵素とヒトの酵素は違います.また,核酸アナログは新しいタイプの薬,というのは誤りです.今までAIDSの治療を始め,核酸アナログを薬剤として使用する経験の蓄積は多くあり,様々なタイプの薬が大分前から認可されています.mRNAワクチンとは異なり,人類にとって初めての経験ではありません.
【追記】COVID-19重症者数の方は生データやthreshold,expected sumsに関しては減少していますが程度は鈍化しています.どれも第1波と第2波の間の谷より少し高いレベルまでは戻って来ています.しかし,まだまだ下げ足りません.先行指標のRe(s)はCOVID-19重症者数に影響を与えるモードとしては全国的に完全に緩増モードですが,値自体は下降気味です.同じく先行指標のE(l)は停滞気味で,第3波と第4波の間の谷より少し上のレベルまで落ちています.もう少し落とした方が良いでしょう.
PCR新規陽性者数
COVID-19重症者数