カンタベリー物語

ジェフリー・チョーサーカンタベリー物語』について文章2つを書いてみました.

 

登場人物の理想化や揶揄について

騎士,粉屋,料理人,法律家,学僧,貿易商,免罪符売り,船長,修道士,托鉢修道士,女子修道院院長,医者,教区司祭という具合にそれぞれの階層や職業を代表して理想化・揶揄されている.それは近現代小説のような心理描写や性格描写を意図したものではなく,中世ヨーロッパの身分風刺の伝統に則っている.例えば騎士は理想的な人物を体現し,修道士や女房は強欲である.宿屋の主人は共同体の統治者,粉屋は野卑で滑稽,家扶は相手に仕返しをする.

 

「粉屋の物語」は「騎士の物語」に対してどうパロディになっているか

共に恋物語としての要素があるが,粉屋の話は騎士の話のように人生観を含んだ哲学として理想化されずに現実的で卑猥であり,風刺的である